プラントハンターとして知られる西畠清順氏のプロデュースによりSHARE LOUNGE 外苑前のグリーンが進化しました。近年注目されているバイオフィリックデザインで設計されており、どこに座っていても緑が目に入ってくるように植物が豊富に配置されています。
バイオフィリックデザインには、空間に緑があることで集中力が高まったり、リラックスできたりなど、様々な良い効果があるとされています。
今回のグリーン化計画にあたって、西畠清順氏にインタビューをしたのでご紹介します。
最後にSHARE LOUNGE外苑前は、なぜグリーン化計画をしようと思ったのか、今後のSHARE LOUNGE 外苑前の展開についてもまとめました。
※今回のグリーン計画は「SHARE LOUNGE 外苑前」独自の施策です
▼今回のグリーン化計画についてのインタビュー&ビフォーアフターをこちらからご覧いただけます
株式会社 office N seijun 代表取締役 / そら植物園株式会社 代表取締役
日本各地・世界各国を旅してさまざまな植物を収集し、依頼に応じて日本はもとより海外の植物園、政府機関、企業、貴族や王族などに植物を届けるプラントハンター。
2012年、“ひとの心に植物を植える”活動・そら植物園を設立。
多様な植物ベンチャー会社を立ち上げつつ、年間200トン以上もの国際取引で植物に関する国内外のプロジェクトを次々と成功させている。
著書に『教えてくれたのは、植物でした』(徳間書店)、『そらみみ植物園』(東京書籍)など。
西畠:シェアラウンジという場所は、色々な使い方があると思いますが、ちょっと集中しようかなとか、一人になって踏み込んで何かと向き合う時間を過ごしてもらったりする場所だと思っています。そこで日常的に公園のように木に囲まれている空間でありながら、快適な場所を提供するというのは、両立できるんじゃないかなと思ったんです。
植物に囲まれていると何かお洒落だな、何か雰囲気良いなというだけでなくて、植物が空間にあると科学的に生物として集中力が増すとか、生産性が上がるとか、リラックス効果があるとか、全部証明されているわけです。
ただのカフェ空間、お洒落なオフィスのグリーンじゃない、もう一歩踏み込んでどこを見ても植物に囲まれている空間を作ることで、よくあるシェアラウンジというものに、プロフィットをもう1個付け足すことを今回はコンセプトにしました。
プラントハンターというと、世界中の貴族や王族の為に植物を探して届ける人みたいなイメージがあって、僕も貴族や王族に頼まれて植物を届けているのですが、施設ができたから緑を入れたいとか、公園を作るから木を植えたいとか、イベントがあるから植物を飾ってほしいとか、現代の様々なシーンに合わせて植物を運んでいます。
そしてシェアラウンジは、全国の様々な場所に浸透していっている中で、どちらかというと導線があって、緑よりもインテリアを中心として行動を決めていく上で、植物の行動だけが決まっていなかった。
そんな中で「SHARE LOUNGE 外苑前」の試みとして、今回の緑のアップデートを山崎さん(SHARE LOUNGE 外苑前を運営するKDDIウェブコミュニケーションズ代表取締役社長)と議論しながらやってみて、これもまた一つの現代の植物を届ける仕事プラントハンターの仕事みたいなのができたのかなと思っています。
西畠:コンクリートだったり、舗装材だったり、そういうハードスケープに囲まれている建築空間の中で、生の植物などで囲まれる面積を大きくすることで、生態的に人間に良い効果をもたらそうというデザインをそう呼んでいます。バイオフィリックデザインというのは、近年注目されているキーワードではあると思います。
最近ではバイオフィリックデザインというのは、自然や植物を取り入れたデザインっていうことを指すわけなのですが、僕の場合は植物を扱っているので、人工的な空間へ存分に自然物を用いるというようなことをやっています。
西畠:まず一つは「360度どこを見ても緑が目に入ってくること」です。
緑地の近くに住んでいる人は長生きするという調査結果があるんですよ。でも都会に住んでいる人は緑に囲まれた住宅空間を持てないことが多い。でも、ここに来ると常に緑が近くにあります。だから全体的にまずは緑がどこ見てもあるっていうのが1つ目のポイントです。
次のポイントは、エントランスに色んな植物がわぁっとあって、ここのシェアラウンジは何か違うぞと感じる「お迎えのグリーン」があります
そして、SHARE LOUNGE外苑前の目玉というのは「季節を感じることができる花壇」を作ったということです。わざわざ席を潰してまで提案させてもらいました。
グリーンを入れるという空間というのはもう増えてきているし、これからも増えてくると思いますが、プラスして季節感を取り入れたというところが、一番僕が気に入っているところです。
冬はクリスマスツリーになるのか。正月は松になるのか。秋は彩の紅葉になるのか。春は春に咲く花なのか。仕入れ状況によって旬なものが届く訳です。これは他にないラウンジになったと思いますね。
現在、SHARE LOUNGE 外苑前には93鉢の植物が置いてあります。西畠清順氏の植物紹介ツアーのインタビューを元に各植物のご紹介をします。
▼西畠氏の植物紹介ツアーはこちらからご覧いただけます
「ソングオブサイアム」(MAP番号1)
僕が名付けた植物で、タイの王族からいただいて昔特許を持っていました。普通の植物もあったりしながら、入り口はちょっと多様性で色んな人が来てもらえたらいいなというのもあって置きました。
「ユーフォルビア」(MAP番号7)
多肉植物の「ユーフォルビア」。ギョッとするかもしれないですが、傷をつけたら出てくる白い液の中に植物性のアルカロイドが入っていて、それは毒です。毒になる植物は身近に溢れているんですが、こいつはアートピースのようにいれました。「多様性」の中ではこういうのをいれているというのもミソです。
「コルジリネ ブラックリーフ」(MAP番号6)
ポリネシア人は、この「コルジリネ」を玄関に植えて魔よけにしています。
「ドラセナナビー」(MAP番号9)
ずっと通路が続くところは同じテンションで統一した樹種が並んでいます。
「小サボテンなど」(MAP番号18)
左手には小さい植物達が並んでいて、安全担保しながら目を楽しませてくれています。統一した樹種でしっかり植物を置いてあるのに、邪魔にならないようにしています。
「トックリラン」(MAP番号10)
今度はトックリランという邪魔にならないもので、緑量が保たれています。
「ツピタンサス」(MAP番号13)「シェフレラ」(MAP番号4)
広い空中の空間があるので、緑量多めでテーブルの上にグリーンが覆いかぶさってくるような感じのイメージで1個の木から葉っぱの量が多いものを使っています。実は種類的には変わってないのに、樹形がすごく変わっています。日陰に強くて、こういうところでも育ってくれます。これはもう種類というよりも木の形にこだわりました。ここのためにあったかのような枝振りです。
「サンスベリア」(MAP番号15)
一時期、マイナスイオン出しまくるということでてテレビでも騒がれて品切れ状態が続いた「サンスベリア」です。邪魔にならないながらも、消臭効果がすごくあって、マイナスイオンがあるという植物を置いています。
「クロゴムノキ」(MAP番号16)
家具の彩りに合わせて、シックに黒い葉っぱでちょっと大人な感じでちょっと落ち着いた感じにしました。グリーングリーンしていたり、赤や黄色のような色を混ぜずにシックな黒い葉っぱのゴムノキで、この辺のゾーンを固めているという感じです。こういうのを植物ではグルーピングというのですが、結構格好がはまっていますね。
「ドラセナカンボジアーナ」(MAP番号11)
メインのエリアなのですが、ドラセナカンボジアーナというシンプルな樹形のものでぐるっと囲っています。ここがシグニチャーな部分というか、洗練されていて、シュッとして格好いいいのに、ちょっと南国のゆるい感じもあるという絶妙なニュアンスです。こいつはだらしなくならないんです。ススキの仲間ではないんですが、いつもすっと立っていてススキのような葉っぱです。安定してシグニチャーなゾーンの雰囲気を醸し出してくれているという感じですね。
「メインの花壇」(MAP番号19)
メインのシーズナルゾーンということで、名物です。
時期によって、毎シーズン季節の花ものとか実ものとか季節の色づきを思わせるカラーの植栽とかが来ます。ここは観葉植物じゃないものが来るというのは一番大きな特徴ですね。
普通オフィスで飾られないような木がきます。クリスマスの時期にはクリスマスツリーが来るかもしれないし、秋には彩った紅葉の紅葉が来るかもしれないし。そういう風に考えられて量も計算されて全て成立しています。
企業に置く観葉植物は変化がなく、育てやすくて、枯れないものを選びますが、枯れて、新しいものに入れ替えていくというのは珍しい話ではあります。でも自然ですよね、それが一番植物にとって。この子達も出番終わったらちょっと枯れていますけど、また剪定して、また来年にはどこかにまた嫁に行くわけです。
「仙女の舞(カランコエ)」(MAP番号8)
触ったらわかるんですが、ふわふわのヌイグルミみたいなんですよね。マダガスカルの植物で、殆ど水やりが入らないんですけど、ゾンビのように葉っぱが落ちて土に落ちたら、またそこからこれができてくるという。土の上に置いておくだけでどんどん増えていくっていう、不思議な性質です。
昔からこいつのファンで、これくらい立派な幹のやつもなかなかもうなくなってきています。絶妙なニュアンスですよね。
なぜグリーン化計画をしようと思ったのか。SHARE LOUNGE 外苑前を運営するKDDIウェブコミュニケーションズ代表取締役社長の山﨑雅人に話を聞いた。
山崎:デジタルで仕事をしていると画面の環境やマイクなど、デバイスにはこだわりを持つ人が多いと思うのですが、実際に人間が仕事をしている時に一番触れているのはそこに居る空間です。どんな空間で仕事をしているかというのが、パフォーマンスにかなり影響を与えているはずなのですが、デジタルのところを特に気にしている人が多いという状況です。
仕事をしている時に居る環境とアウトプットはかなり関係しているのではないか、ということをある時思い、オフィス以外の場所で仕事をすることは当たり前になってきている中で、その環境にもっと注目した仕事場をどうしたら作ることができるかなと考えていました。
音や光など、見えるもの・聞こえるもの・触るものの心地良さが仕事の生産性や発想が生まれる時に関係するのを実際体感してもらいたいと思い、ラウンジの空間でそれを実現しようというのが元々の発端です。
その中で、光と音は工夫をしたんですが、見えるものとして緑が嫌という人はあまりいないし、緑を置く事に否定的な人もそんなにいない。そして、人は余暇で緑を求めて出かけていったりすることもあって、緑というのは人の心地を良くするもので、ある意味日本人としては、緑は中心みたいなところもあると思っているので、それをちゃんと置きたいなと思ったんです。
ただ、会社とか見ても玄関には緑をたくさん置いてありますが、オフィスの中に入るとあまり置いていないというところが多いです。働く環境の中で緑がどこに行っても見えるというぐらい置くことによって、仕事がより心地よくなるといいなとか、実際そうなったか。というのを体感してもらって、感想が欲しいというのもあり、今回緑をたくさん入れてみたという感じです。
山崎:西畠さんは、どのようにして緑が人の心地よくさせるかということを、色んなところで仕事されているので、さっきのコンセプトに合わせて緑を置こうと思った時に、西畠さんであれば、SHARE LOUNGE 外苑前に来たお客様が心地よくなる緑というのを提案していただけるんじゃないのかなと思いました。西畠さんもそれが自分だったら提案できるというのを自信を持って言っていただいたので、じゃあぜひお願いしますという感じでしたね。
山崎:お客様には緑がいいねとか、音楽がいいねとか部分で知ってほしいわけじゃなく、五感を通して、心地良かったねという風に思ってもらえるのが一番だと思っています。
目に見えるものとかある部分だけ切り取って、良いよね、悪いよねって言われているうちはまだ全体が整ってないということだと思っています。
雰囲気として、何か来たら良かったよね。何か捗ったよね。いいことあったよね。という風に言ってもらえるようになるのが一番良いと思っているし、そういう風に感じていただいた時に初めて自然に暮らしの中に緑があるとか、仕事場に緑があるということの価値が出てくるかなと思っているので、そういうぼんやりとした雰囲気で感じてほしいなと思っています。
山崎:100%は目指してないんです。こういう空間はサグラダファミリアでいいと思っていて、作っている途中でも価値があるし、いつ出来るんだろう?という状態でずっとこの空間を良くしてくれる人が出続けることが必要だと思っています。
空間を作ると完成した時が一番良くて、だんだん古びていって、じゃあ新しくしましょうという感じの動きになっているのはエコじゃないし、今の時代的ではありません。どうアンティークになっていくかとか、古いものを活かしてどう作っていくかということを考えている人にバトンを渡していかなきゃいけないと思っているので、100%になったら終了だと思っています。
そこからもう落ちていくしかないので、基本的には80%とか70%ぐらいのところで、時代に合わせて、引き継いでくれる人とか、良くしてくれる人がどんどん色々なものを提案してくれるというのが一番良いかなと思っています。
飽きられずに、ここはもっと良くするとこんな風になるのに。という感想を言ってくれて、手を動かしてくれる人がずっと集まるという状態を作りたいと思っているので、完成はないし、完成したらおしまいだという風に思っています。
私は建築家さんやデザイナーさんではないので、自分の作品ではないというか、結局使ってくれる人が作りあげる空間なので、使っている人がイマイチだねと言ったらそれまでだと思っていて、使う人が良いと思う空間をどう維持するのかというところが全てだと思っています。使う人も環境も年代も変わればだんだん人も変わっていくし、仕事の仕方もどんどん変わっていきます。
それが変わった時に、更に良くしていくためにはこうしたら良いんじゃないの?という提案が出てきたら長持ちするし、出てこなくなると、あとは古びていくだけだと思うので。
そこを切らさずにいけるようにしたいなと思っているので、この空間が無くなったら嫌だよねと言ってくれる人をどれだけ増やせるかというところを意識してやりたいなと思っています。
山崎:今、SHARE LOUNGE外苑前にはまだ絵を飾っていません。絵を描いている方やここに置きたいっていうものを作っていらっしゃる方がいるので、ここで何かをしたいとか作りたいっていう人のものが増えてくるというのが次のアップデートです。
これからも時代に合わせた居心地の良い空間を提供していくために、SHARE LOUNGE 外苑前は進化していきます。
ぜひ体感しにお越しください。
(※)SHARE LOUNGE 外苑前のパートナーについてはこちらから
SHARE LOUNGE 外苑前(シェアラウンジがいえんまえ)
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営業時間:8:00-22:00
定休日:土日祝、年末年始
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